風間班 国際共同研究でヒロハノマンテマのゲノムを解読した成果がCurrent Biology誌に掲載されました。

 風間班の風間班員らが参画する国際共同研究グループ(英国・オックスフォード大学、中国・福建農林大学、フランス・ソルボンヌ大学、日本・福井県立大学)は、雌雄異株植物ヒロハノマンテマのメスの全ゲノム解読に成功しました。

 ヒロハノマンテマは雄花と雌花を別々の個体に咲かせる植物、雌雄異株植物です。雌雄異株植物の多くは、雄花と雌花の区別のない両性花から、XYの性染色体をもつ雌雄異株へと進化したと考えられています。しかし、植物がどのようにXY型性染色体をもつに至ったのかについては謎が多く、世界中で研究が進められてきました。
 今回、国際共同研究グループは、ヒロハノマンテマのメス個体の全ゲノム解読を行いました。ゲノム配列上の遺伝子の分布を調査したところ、全ての染色体において末端領域に遺伝子が集中して存在していました。これらの末端では父由来と母由来の1対の染色体(相同染色体)同士で頻繁に遺伝子の交換(組換え)を起こすことがわかりました。X染色体の末端はY染色体の末端との組換えは生じていませんでした。さらに、性染色体をもたない近縁種においてヒロハノマンテマのX染色体に対応する染色体との構造を比較したところ、ヒロハノマンテマのX染色体は末端部分の配列が逆方向になっていること(逆位)がわかりました。この末端部分の逆位が約1,100万年前に生じ、祖先X染色体とY染色体との間で組換えができなくなり、その結果オスを決定する遺伝子がY染色体に固定され、性染色体が誕生したと考えられます。実際に、昨年、風間班員らが特定した性決定遺伝子GSFYもこの末端領域に存在していました。

性染色体誕生の様子を明らかにした本研究成果は、生物学全般を扱う国際的な著名雑誌「Current Biology」のオンライン版で発表されました。

https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.05.046