略歴
2006 | 東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了 | 博士(理学) |
2006~2011 | ペンシルバニア州立大学分子進化遺伝学研究所 | 博士研究員 |
2009~2011 | 日本学術振興会 | 海外特別研究員 |
2011~2012 | 基礎生物学研究所進化生物学部門 | 博士研究員 |
2012~2016 | 国立遺伝学研究所生命情報研究センター | 助教 |
2012~2016 | 総合研究大学院大学遺伝学専攻 | 助教(併任) |
2016~2020 | 首都大学東京都市教養学部生命科学コース | 助教 |
2020~現在 | 東京都立大学理学部生命科学科 | 准教授 |
研究概要
一対の常染色体が性決定遺伝子を獲得して性染色体になると、一般にY染色体は組換えを行わなくなり、その結果多くの遺伝子は機能を失い退化します。しかし、Y染色体上に存在する性決定遺伝子や性関連遺伝子はオスの機能、すなわち性の存続に必須であるため、Y染色体は退化するが通常は消失し得ないと考えられます。つまり、Y染色体はまさに『進化の袋小路』ともいうべき存在です。しかし、Y染色体を失ったにもかかわらず性の消失を回避した生物も存在します。ヒゲジロショウジョウバエ(Drosophila lacteicornis)もその一種で、私はこのショウジョウバエにY染色体を持つオスと持たないオスが混在していることを発見しました。そこで、Y染色体を持つオスと持たないオスを、ゲノム、遺伝子発現、ヒストン修飾、生存率、繁殖率分布域などの観点から詳細に比較することで、本種が性を安定的に維持したままいかにしてY染色体を消失しつつあるのかを解明したいと考えています。また、これら一連の研究からY染色体の存在意義を検証することを目指します。本研究を通して、Y染色体消失段階における性の消滅回避機構を明らかにし、「性染色体サイクル」の解明に貢献します。
