研究代表者 風間 裕介
(福井県立大学)

E-mail: ykaze@fpu.ac.jp

略歴

2006 東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了 博士(生命科学)
2006~2017 理化学研究所 仁科加速器研究センター 生物照射チーム 博士研究員
2012~2016 横浜市立大学 大学院生命ナノシステム研究科 客員准教授(併任)
2017~2018 オックスフォード大学 植物科学部 訪問研究員(併任)
2018~2019 理化学研究所 仁科加速器研究センター
植物ゲノム進化研究チーム
チームリーダー
2019~2020 福井県立大学 生物資源学部 准教授
2019~2020 東京理科大学 総合研究院 客員准教授(併任)
2021~現在 福井県立大学 生物資源学部 教授
 2021~現在 東京理科大学 総合研究院 客員教授(併任)

研究概要

Y染色体が組換えを停止し、その結果多くの遺伝子が機能を失い退化する現象は、植物の性染色体においてもみられます。スイバのY染色体のような極端な例では、退化が進んで性決定遺伝子を失っており、性はX染色体と常染色体の比で決定されます。これに対し、ナデシコ科のヒロハノマンテマでは、Y染色体の退化は進んでいるものの、Y染色体上に強力な性決定遺伝子が存在します。私は、このヒロハノマンテマのX染色体上に性決定遺伝子のカウンターパートとなりうる遺伝子の候補を発見しました。Y染色体上にはめしべの発達を抑制(オス化)する遺伝子が存在するのに対し、X染色体上にはめしべの発達を促進する(メス化)と考えられる遺伝子が存在したのです。X染色体上にめしべの発達を促進するメス化遺伝子を獲得したことで、X染色体が性決定機構を分担するよう進化してきたと考えられます。本研究では、これらの遺伝子のコピー数を変動させてめしべの発達を観察することで、Y染色体が消失しても性は消滅しないメカニズムがX染色体上に存在するかどうかを検証します。本研究を通して、性染色体分化段階における性の消滅回避機構を明らかにし、「性染色体サイクル」の解明に貢献します。