風間班 理研と風間班員らの研究チームによる重イオンビームで誘発した欠失変異の遺伝解析の成果がFrontiers in Plant Scienceに掲載されました。

重イオンビーム照射では吸収線量と線エネルギー付与という2つのパラメータがあり、これらを調節することによって誘発される突然変異の頻度と規模とを変化させることができます。今回、研究チームは誘発された欠失の遺伝様式を調べたところ、生存に必須な遺伝子を含む欠失は遺伝しにくいことがわかりました。すなわち、ゲノム内の必須遺伝子を破壊しない程度の規模の欠失しか遺伝しないことになります。さらに、染色体構造変化のつなぎ目は必須遺伝子を避けるように生じていることも明らかになりました。

本領域においても、重イオンビームは性染色体部分欠失を誘発する技術として利用されています。Y染色体やW染色体には必須遺伝子が無い(または少ない)ので、より大きな欠失が遺伝できるかもしれません。生物によっては半数体の時期に必要な遺伝子が座乗している場合、同様に欠失サイズの上限を決める因子となりえます。これらの遺伝については今後の研究課題となります。

本研究成果は、科学雑誌「Frontiers in Plant Science」のオンライン版(4月17日付:日本時間4月17日)に掲載されました。https://doi.org/10.3389/fpls.2024.1352564