風間班 風間班員らの研究グループが日本育種学会賞を受賞しました。
理化学研究所仁科加速器科学研究センターイオン育種研究開発室の阿部知子室長、福井県立大学生物資源学部の風間裕介班員、宮崎大学農学部の平野智也准教授のグループによる「重イオンビームによる育種技術の開発」が日本育種学会賞を受賞することが決定しました。
日本育種学会は、品種改良に関する研究及び技術の進歩、研究者の交流と協力、および知識の普及をはかることを目的として1951年に創設された日本学術会議登録団体であり、日本育種学会賞は、本学会の会員による優れた学術的あるいは技術的業績に対して授与される権威ある賞です。
研究グループは、イオンを光の約半分の速度にまで加速して発生させるイオンビームを植物・微生物に照射して突然変異を誘発し、有用形質をもつ新品種を作出する技術開発を行ってきました。突然変異誘発の種類と規模を精査するため、突然変異体の全ゲノム配列を解読する研究を推進しました。その結果、比較的軽くエネルギーの小さな炭素イオンビームでは突然変異の率が高く、比較的重くエネルギーの大きなアルゴンビームでは突然変異の規模が大きくなるという、ビームによる変異誘発の違いを明らかにしました。本成果を元に、ユーザーのニーズに応じてビームを使い分けるテーラーメード変異誘発法を開発しました。これまでに、国内外のイオンビームユーザーは 200団体に広く利用され、四季咲きの桜、涙の出ない玉ねぎなど39種類の新品種の育成に成功してきました。これらの長年にわたる基礎研究及び社会実装の優れた成果が高く評価され、本賞の授与が決定されました。重イオンビームは、本領域の研究推進においても、性染色体の部分欠失誘発ツールとして利用されています。
受賞式は、授賞式は令和5年3月17日に日本育種学会令和5年度春季大会(静岡大学)にて行われました。