桂・井川班、阿部班、風間班、野澤班 性染色体サイクルに関する総説論文がJournal of Biochemistry誌に出版されました。
桂・井川班の林舜研究員、阿部班員、井川班員、桂班員、風間班員、野澤領域代表は、動植物の性染色体に関する知見をまとめ、性染色体進化と性の維持機構に対する新たな見解を発表しました。「人間のY染色体は退化していて、男性機能が低下している」と議論されることがありますが、これまで性の存続は、生物が退化したY染色体上の性決定遺伝子を維持し続けることで保たれてきたとする、「性染色体進化の袋小路」仮説によって説明されてきました。しかし、多様な生物を用いた近年の研究により、退化した古い性染色体が常染色体と入れ替わることで性を存続させてきたとする「性染色体サイクル」仮説が提唱されています。この新たな仮説を理解するためには、様々な生物種の性染色体に関するデータを体系的に整理する必要があります。そこで本総説では、性染色体サイクルを主要な進化段階に分類し、各段階に位置する性染色体を持つ多様な生物の性の存続機構を整理することで、性の存続を支える性染色体サイクルの重要性を明らかにしました。
本総説は、本領域の領域メンバー全員で「性染色体サイクル」の重要性を主張できたという点で、非常に意義深いと感じています。また、本領域の若手メンバーである林舜さんを筆頭著者とした論文が出版されたという意味でも、今後の領域の発展に向けて大きな意味を持つと考えます。引き続き各計画班の成果を発表できるよう研究に邁進していきます。
https://academic.oup.com/jb/article/176/2/81/7709515?login=true